小林社寺のトピックスや社寺建築のよもやま話をお伝えします。



社寺建築よもやま話 第1回
「宮大工と社寺建築の見極め方、美しさの秘訣」

はじめに

小林です。このホームページを立ち上げてからおかげさまで1年が経過しました。
今日までに求人のお問合せや工事のご検討、ご取材などさまざまなご連絡をいただきました。
ご覧いただきありがとうございます。
この1年で改めて感じたのが「社寺建築」や「宮大工」の仕事内容やその見極めが業界以外の方々にはなかなか理解しづらいものなのだなということです。
そこで弊社も日頃からお世話になる社寺建築業界50年超の大ベテラン
「池田社寺建築設計事務所」の池田晶先生(画像左の人物)に「社寺建築と宮大工の見極め方、伝統美の秘訣」をテーマにお話を伺いました。

 


Q1「よい宮大工、よい職人とは」

今までさまざまな現場で色々な職人の方々にお会いしましたが、よい職人とは、建物に対しても自分自身に対しても妥協をしない人が多いように感じます。
例えば鉋削りでも本来は10削るところを8ないし9でやめてしまう人もいる中で10が当たり前だと思える人。お施主さんでこの違いを分かる方は少ないと思いますが、その少しの違いで建物の見栄えも変わってきます。同業であればこそよく分かります。建ててから数十年から数百年が経過し、当時建てた職人はこの世にいなくても、そういった建物に出会うと嬉しくもあり身が引き締まります。
 

例えば、お施主さんでも求人応募を検討されている方でも、よい宮大工かどうかそこを見極める簡単な方法としては「道具や材料を大切にする」「現場がきれい」「休憩時間と仕事時間のメリハリをつけている」など基本をおさえている人かどうかが判断材料のひとつになると思います。一事が万事です。
時代は変化していますが、たいていの場合、よい職人さんは寡黙で実直です。
向上心と探究心を持ち続けられる人。満足したらそこで終わりです。これは宮大工に限らずどの業界でも同じだと思います。

 


Q2「よい社寺建築会社とは」

これが一般の方にはなかなか分かりづらいのですが、社寺建築の業界でも大きな会社、有名な会社でも、首を傾げてしまうような例が見受けられます。
逆に会社としては小さくても少数精鋭でよい棟梁がいて、信頼できるブレーンがいれば十分です。
本当に会社の大・小は関係ない。
私が社寺建築設計で重要視しているのは、与えられた予算の中でそれ以上の価値を建物に持たせること。
また30年、40年を見据えた提案をできるかどうかです。
とはいえ、その建物の30年、40年先は一般の方には分かりません。そこで、よい社寺建築会社かどうかを判断する際に確実な方法は「その会社が建てた建物を見に行く。お寺であればご住職やご家族に話を聞く」ことです。また、お寺であれば宗派内の繋がりが濃く、結びつきが強い。
その会社が信頼できる会社かどうかはそこでの噂などでも参考にされると良いと思います。
小林社寺さんの場合でも決して大きな会社とは言えませんが、棟梁(小林さん)は信頼できます。
建てた建物然りです。方向性は小林さんが決めるべきですが、会社組織としてさらに前進するためには人を育て、今よりもさらにブレーンを増やし、数としての経験を積んでもらいたいです。
この道に完璧はなく、経験に勝るものはありません。

 

 

Q3「社寺建築のセンス、伝統美の秘訣とは」

特に社寺の場合は檀信徒の方々のご寄付などで成り立つので、その建物が地域で長く愛さ
れることが求められます。またそうでないと立てる意味がない。と、言っても過言ではありません。
京都、奈良、鎌倉の社寺建築を例にとってもその建物がその地で愛され親しまれるためには、そこに「伝統美」が求められます。法隆寺でも東大寺でも数百年が経過した建物は時間とともに少しずつ目に見えないレベルでカタチが崩れてきていることがあります。とはいえ、しっかりと建てられたものは次代で改修が出来、当時の美しさを再現できます。伝統美を保つためには先人たちの技と知恵を理解し継承していく必要があります
 
社寺建築をみてよく分からないけど、いいな、美しいなと感じることがあるかと思いますが
多くの場合、屋根の軒反りが影響しています。軒反りは設計図面である程度イメージ出来ますが、言ってしまえばこれはただの絵でしかありません。
実際に軒反りを書いていく作業は原寸図面の書き出しで決まります。この作業こそ勝負でそれこそ先人達の知恵と自分のレベルと対峙する瞬間ともいえます。
私も色々な先輩設計士の工法や考えをこの作業を通して勉強してきました。
 
原寸図面の書き出しは設計士がやる場合もありますし宮大工がやる場合もあります。
小林社寺さんと仕事をさせていただくときは、小林さんの加工場でこちらの意図を伝えながら一緒に微修正を重ねます。これにはあうんの呼吸が必要とされます。偉そうに言う気はありませんが私の場合でも、これを一緒にできる職人は限られます。
もちろん美しい軒反りを出すためには全体のバランスやその立地、人々の目線なども考慮しますが伝統工法を支える確かな技術と宮大工としての覚悟が必要です。
そこで不可欠なのは例えば小屋組み内部など特に人の目に触れないところをいかに丁寧に作業にあたれるか、鉋のひと削りにこだわれるか?次代の職人にも継承できるか、誇れるか?
私はそれが美しさの決めての一つだと考えています。

 
 

 

◎インタビュー

代表の小林がWebマガジン「B+」の経営者インタビューを受けました。